続きを書いていきます。
前編は↓。
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職にありつくまで
前編の終わりに、エージェントに10社登録した話を書いた。
手当たり次第に登録した訳だが、1社に絞らずに複数同時進行させたのには、 明確な戦略 があった。
それは、 バトナを得て交渉を有利に進める ためだった。
過去に案件を取っていたとき、エージェントは1社だけを使用していた。
しかし、1社からの提案に頼るのは危険である。
なぜなら、評価指標が絶対化され、相対的な比較検討ができないからだ。
エージェントによって商流の深さ、案件の質は全く異なる。
同じスキル要求でも、エージェントが異なるだけで単価が全く異なることもある。
たちの悪いエージェントに捕まれば、低単価で技術もつかない案件に永遠に放り込まれ続けることにもなりかねない。
そういったリスクを避けるためにも、自分が複数の選択肢をもつことは重要だ。
鬱の最中でも、冷静な思考で判断し、虎視眈々と上記のような戦略を実行できたのは、我ながら素晴らしかったと思う。
結果として、良い条件でベストな案件にありつくことができた。
複数エージェントを並行するメリット
複数のエージェントに登録し、案件の選択肢を持つことは、交渉を有利に進める鉄則であると思う。
そもそも1社だけに登録していては、試行回数が減る。
スキルシートや面談に対するフィードバックも一面的であるゆえ、自分の立ち位置は相対化されない。
しかし、10社登録したらどうだろうか。
10社に対してスキルシートや面接のフィードバックを依頼できる。
面談に望むためのPDCAの回数は、単純計算で10倍になる。
試行錯誤できる回数が10倍違うのだ。
必然的にスキルシートや面談の質は磨かれる。
その結果、たとえ自分が鬱状態であったとしても、否応なく改善されていく。
プロセスは果てしなくしんどい。
だが、そのしんどさを私は甘んじて受け入れた。
そのしんどさから逃げることは、私にとって鬱に敗北することを意味していたのだ。
その際身につけたスキルシートの書き方や、面談での逆質問のテクニック は、別の機会にまとめることにする。
オファー承諾前の交渉
最終的に時期は覚えてないが、複数の案件に対してオファーがもらえている状況になった。
条件面では、どの案件も五分五分。
業務内容面、報酬面で、それぞれ一長一短あるといった状況。
自分にとっては、どの現場でもそれぞれメリット・デメリットはあって、どんぐりの背比べだなという状況。
だから、簡単に言えば、どれに参画してもいいやという状況だった。
ある程度、現状のスキルシートと面談スキルで、これくらいのレベルの案件ならばオファーがもらえるな、という感覚も掴めていた。
だから、 意思決定を焦る必要もなかったし、なんならもっと納得のいく案件に出会えるまで、面談を組んでもらおうとすら思っていた。
そんなタイミングで、実に運が良いことに オファーをくれた現場から「◯◯までに返事をしてほしい」と意思決定を仰ぐ連絡が来た。
私には、 バトナ(別のベストな選択肢)が揃った状態で、相手から決定を急いでほしいリクエストが来たのだ。
つまり、これは 交渉のチャンスが来たということだった。
- こちらには他に複数件のオファーがある
- こちらは意思決定を急いでおらず、何なら面談をさらに入れようとしている
という状況下で
- 相手はこちらを有力候補者に挙げており、月末までに契約を巻きたい
という状況になったのだった。
詳細は省くが、最終的に、 単価を交渉した結果、当初の定時よりも高い金額で契約を結ぶことができた。
本当の戦い「メンタルOps」の始まり
というわけで無事に、 実質無職の鬱人間から、一応仕事が決まっている鬱人間に格上げされた。
しかし、 当然配属先の現場には、自分のメンタルの話などしていない。
それを伝えることで、双方になんのメリットも生まれないからだ。
相手がメンタルの既往歴を知ったところで、リスクのある人材を取りたくないし、ケアをできる余裕もあるはずがない。
こちらがメンタルの既往歴を明かしたところで、即戦力を求められている私が相手にケアを要求するのはお門違いだ。
だから、私は 何が何でも鬱を脱出して、再び鬱にならない生活をする という必要があったのだ。
これはつまり、 急場しのぎの鬱対処ではなく、健全なメンタルの継続的デプロイのためのメンタルOps の始まりを意味していた。
ありとあらゆる健康ハックを試す
案件が決まってからというもの、私は 鬱にならないための生活基盤の構築 に向けてありとあらゆる手段を尽くした。
メンタル関連の書籍を読み漁り、手当たり次第に取り入れ始めた。
セロトニンの出る食事、胃腸にやさしい食事法、自律神経ハック、睡眠ハック、運動ハック・・・
ここに挙げた本は一例に過ぎないが、とにかくメンタルに効きそうなものは片っ端から試していった。
Youtubeでも、それ系の動画ばかり見まくっていた。
自分の抱える双極症のことや、メンタルクリニックで言われたASD気質な部分についてもインプットしていった。
自分の精神病や発達特性のことを知れば知るほど、これまでの人生に辛かったことに合点が行く点が出てきた。
ASDについては診断をもらっておらず、診断未満程度の人格だが、それでも幾分か生きづらさに対して、解像度を上げることができて楽になったのは事実だった。
結局は運動・食事・睡眠の3変数
健康のことを色々調べたが、結局のところ原則はシンプルだった。
自分に変えられる変数のうち、メンタルに効くのは
- 運動
- 食事
- 睡眠
の3変数のみ。
この3変数を自らの工夫で少しずつ変えれば、確実にメンタルが変わるとわかった。
不健全なメンタル状況のときは、必ず3要素のどれかが欠けている。
また、これらの3要素は単独で成立するものではなく、いずれも満たされなければならない。
特に睡眠については、それ単独で変化させることが難しく、運動および食事をしっかり整えないと、良質な睡眠につながらなかった。
この中で最も優先して取り組むと思われたのは 運動 だった。
現代人、特にエンジニアのようなPCに向かい合っている職種は、圧倒的に運動が欠如する。
その結果、腹が減りにくくなり、食事もおろそかになる。
家から出なくなると、コンビニ飯などになりがちでもある。
そうなると、睡眠に必要な栄養素が足りずに、いざ寝ようとしても良質な睡眠を取れないどころか、眠れないという問題におちいる。
したがって、3変数のうち、真っ先に運動に着手するべきだ、というのが私の結論だ。
結果的に、案件参画後、最初の契約期間を転ぶこと無く無事に終えた。
そして、継続発注をもらい、その取引先とは、その後も長く契約を継続いただくことになった。
散歩でもいいから身体を動かす
この本に書いてあるが、衝撃的なことに 運動は抗うつ薬よりもメンタルに効く という事実が、科学的なエビデンスと共に証明されている。
だから、今すぐやるべきは 運動 なのである。
運動と聞くと、ランニングに出かけたりジムを契約したりと、腰が思い印象がある。
だが、私は とりあえず散歩にでかけるところから始める というのをおすすめしたい。
私自身も、なかなかランニングに出かける気にはなれなかった。
だから、とりあえず コンビニにでかけるときに、ついでに公園などに寄り道することから始めた。
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植物が好きだったので、図鑑を片手に昼飯を買いがてら散歩して、公園で昼飯を食ったりしていた。
それだけでも、 日中に日光を浴びる時間が長くなり、比較的不眠症がやわらいだ。
もちろん、ランニングに出かける勇気があるなら、今すぐ靴を履いて走りに出よう。
身体を動かすと自然とお腹が空くし、体力を使い果たして夜も自然に眠くなる。
健康を左右するのは、運動・食事・睡眠の3変数だが、まずは最優先で 運動から着手しよう。
また、Xではおすすめしまくっているが、スタンディングデスクで日中立ち仕事する のも非常におすすめだ。
朝から晩まで立ってPC仕事をすると、非常に疲れる。
疲れるということは身体を使っているということだ。
足腰もかなり鍛えられて、以前より遠出がしんどくなくなった。
資金に余裕がある人は、ぜひ導入してほしい。
首コリ、肩こり、腰の痛みともおさらばできて一石二鳥である。
まとめ
長々と書いてきたが、鬱から立ち直って社会復帰できた経験をまとめてみた。
とは言っても、まだフルタイムでフリーランス復帰してから、1年ちょうどが経った程度だ。
季節の変わり目なんかは、それでも寝付けなくなる。
体力的に消耗していると反芻思考が増えて不安気味になるときもある。
だが、10社並行してエージェントを使って案件を獲得した経験、
そこからライフハックを試しまくって生活習慣を手に入れた経験は、
間違いなく私に自信を与えてくれた。
もしかしたらこの先また、体調やメンタルを崩す日が来るかもしれない。
だが、もしそうなったとしても、この1年を安定して仕事し続けられた事実が、
他ならぬ私自身を支えてくれると思う。
「あのときドン底だったけど、なんとか這い上がれたじゃないか。」
「また躓いても、もう一度同じ用に立ち直ればいいじゃないか。」
そういう風に、自分を励ませる材料を手に入れられたのは、この1年の大きな収穫だ。
普段自分を褒めることなんてめったにしないが、
今日ぐらいは、
この1年よく頑張ってきたなと褒めてやりたい。










