先週こんなポストをしたら、思いがけず多くのいいねをもらった。
たいして技術力ないのに、人当たりの良さとタスク捌きと面倒見の良さだけで仕事してすみません。
— y2m (@yusuke1225math2) 2025年6月9日
私は5年目くらいのフリーランスエンジニアだ。
フルスタック案件によく入れてもらっているが、正直なところ「タスク振ったらとりあえず片付けてくれて、雑務率先してやってくれる便利な人」以上の役割は果たせていないと感じている。
フロントエンドの専門的なことはわからないし、バックエンドの専門的なこともわからないし、サーバサイドをゼロから構築しろと言われたらできない。
自分で調べたり、ときどき専門の人に聞いたりしながら、目の前のタスクを納期までにある程度のクオリティで仕上げられるというレベルだ。
上記の投稿にたくさんのいいねがついたことから、私のような感覚で働いているエンジニアは意外と多いのかもしれないと思った。
自分は空いた時間を全てエンジニアリングに費やすほどギークな人間ではない。
仕事で必要な技術的なインプットはもちろん時間外にやることもある。
だが、寝食を忘れて新技術の可能性を探求したりとかはしていない。
誰もが唸るようなポートフォリオや、GitHubリポジトリも持っていない。
だからせめてできることとして
- 報連相は誰よりも早くする
- 明るく元気に接する
- ふわっと頼まれても即座に分解・言語化し、合意を取って進める
- 誰もやりたがらないことをやる
- 自分の担当範囲について誰よりも詳しくなるように努める
- 現場で使用した技術について、別の現場でも使えるレベルに習熟する
という、社会人として至極当たり前の立ち回りを徹底している。
しかし、色々な現場で働いていて感じたのは、技術力とは無関係そうな「当たり前のことを当たり前にやる」をできる人ばかりではないということだ。
技術力がありつつ人当たりがよくない人もいれば、そもそも仕事への姿勢が半端な人もいれば、残念ながら鬱などで急にいなくなってしまう人もいる。
だから採用する側目線だと、「そこそこの技術力でも安定して働き続けてくれる」というだけで十分助かるようだった。
ゆえに、そこを徹底して取り組むだけで、ある程度の差別化になっていた。
そのおかげで面談でオファーをもらえたり、継続の契約をもらえていた。
しかし、どうやら最近、IT業界は潮目が変わりつつあるようで、危機感を感じざるを得ない。
IT企業のフリーランス離れ
自分がいる現場や自分の働き方を、世間と相対化するのは難しい。
だからエンジニアの友人と話したり、Xで情報を得ているわけである。
しかし、タイムラインの最近の動向を見ていると、フリーランスという働き方の雲行きが怪しいのを感じる。
フリーランスが切られてるって話をすると、トラブル起こしてるからだと単純に考えてしまう人もいると思うけどそうじゃなくて、問題は案件が減って人を切らないといけなくなっているって事
— tomo (@TomoEqual) 2025年6月15日
全部あれこれ出来ればフリーランスで食えるみたいな話も幻影と思った方が良いです
— 小柳勝範@札幌のIT会社の代表 (@k_koyanagi_null) 2025年6月15日
広く浅くやってる経験の浅い人に仕事をお願いしているのは、単純にエンジニアバブルで人手が足りないからです
単価だけ見て実力不足で雑魚のまま「無限責任がある個人事業主」の自覚ゼロで「派遣社員の延長」的な感覚のフリーランスとか、そもそも依頼/採用から絶対に除外するべきで、人材不足で少しでも戦力が欲しいその状況がもう取り返しつかないわけで、今いるまともな要員でなんとかするしかないじゃない。 https://t.co/ynVO8KLNFL
— ちょあ (@hiimchoa) 2025年6月15日
少し前にSESの経歴詐称問題が話題になった。
また、雇ったフリーランスエンジニアがロクな成果も出さず、パワハラなどを理由に退場して報酬だけ要求するような事例も、タイムラインで時々目にするようになった。
インフルエンサーが未経験転職やフリーランスへの転身を煽りまくった結果、市場にはテイカー気質な人材が溢れかえってしまったのかもしれない。
その結果、企業はスクール上がりのエンジニアの採用には後ろ向きになり、フリーランスという働き方そのものをリスクとして捉えるようになりつつあるようだ。
AIが浮き彫りにするエンジニアに必要な力

生成AIの発展もそれに拍車をかけている。
私も業務やプライベートで、生成AIを多用しているが、使ってて思うのは
- ただコードをかける人
は真っ先に駆逐されるだろうなということだ。
実際AIを使うと、自分で書く機会はかなり減った。
その代わりに、コードを読む時間、実装を検討する時間、品質を評価する時間が圧倒的に増えた。
ゆえに
- AIが出してくるコードに妥当性を付け加えられる人
- AIが出してくるコードに品質を担保できる人
- 納品したコードに責任を持てる人
でないなら、企業として採用するメリットはなくなってしまう。
上記の観点で物を言うのは、経験と知識からくる確固たる技術力に他ならない。
よりエンジニアとしての付加価値を上げ、食い扶持に困らないためには技術力を一皮むけさせるか、何か専門領域に特化するかしないといけないように感じる。
少なくとも、AIの使い方について長けていく必要があるのは間違いなさそうだ。
そして、最もクリティカルにAIが代替していくのは
- 言われたことだけやる人
だろうと思う。
生成AIがコードを書くなら、タスクチケットに概要が書かれた時点で仕事は終了してしまうからだ。
AIに代替できないのは信頼と責任と人間関係
具体の部分の仕事に価値がなくなれば、抽象度の高い上流で戦うしかない。
- 上司からふわっと依頼された内容を分解して遂行できる能力
- 顧客の曖昧な要求に対して、仕様を提案して合意を取れる能力
- プロジェクトにとって必要なことを、自ら考え提案し行動できる能力
が、エンジニアに必要な能力の最低ラインになっていきそうだ。
これらは自分で問題設定して解決していける能力であり、大げさに言えばこの世にないものをつくっていく力とも言える。
そのベースになるのは、主体性やオーナーシップであり、人間関係をつくって周囲とやっていく能力だろう。
- この人とは仕事がやりやすい
- この人と次の仕事も一緒にやりたい
- この人がいればとりあえず安心だ
- この人は最後までケツを持ってくれる
チームや会社でそういう信頼・信用を得ている人は、AIに代替されることなく今後も生き残っていくだろう。
また、そういう人たちに生まれる必要性は、IT業界のエンジニアという括りの話ではなく、もっと広く人間社会の営みという括りでの必要性のようにも感じる。
一方で、フリーランスは当たり前の話だが、常に残酷に市場原理にさらされている。
仮に現場で上記のような評価を得ていたとしても、企業が財政難の際には真っ先にコストカットの対象となる。
そういった状況でも生き残るには、この人はコストをかけてでも会社に残したいと思わせる必要がある。
ただ、そのために何をすべきかについて、フリーランスである私は、明確な答えを出せていない。
現時点では
「とりあえず現場に入れれば、キャッチアップして、PJT進行に寄与してくれる人」
以上の印象を、まだ現場に残せていないように思う。
ジュニアの面倒を見たり、クライアントとのやり取りをスムーズに行ったりなどはしているが、それが評価されているかというと、よくわからない。
今の現場が財政難にならないことを祈りつつ、今は眼の前のことを全力で頑張るしかないのだろうか。
次の契約が始まるまでに、今後どういうことに注力すべきなのか、一度よく考えてみようと思う。