ロンドンに海外旅行に行った。
私は海外旅行に滅多に行かない。
せっかくロンドンに来たからには、
- イギリスでしか味わえない体験をしたい
- 他の人がやりそうにないことをしたい
- 「ロンドンで○○をしました!」と胸を張って言える体験をしたい
と思った。
というわけで、
「ウナギのゼリー寄せ」に挑戦
してみた。
結論から言うと、
最悪の体験だった。
ゆえに食レポとしてここに成仏させることにする
2025年5月20日 y2m
ウナギのゼリー寄せが食べられる「Poppies Fish & Chips」
さて、まずは店探しだ。
ウナギのゼリー寄せは英語で
「Jellied eels」というらしい。
GoogleMapで「Jellied eels(ウナギのゼリー寄せ)」とググってみた。
何店舗か引っかかった。
しかし、GoogleMapで引っかかっても、実際の店舗にメニューがあるかはわからない。
慎重な私は万全を期すべく、Google検索でも「ウナギのゼリー寄せ 店舗」などとググってみた。
後だから言えることであるが、
このときの私は「とんでもないゲテモノを確実に食すべくリサーチを怠らない」稀有な人種となっていたのだ。
何件かヒットした。
その中でも泊まっていた宿からも遠くない店を選び、
Poppies Fish & Chips SOHO店
に行くことにした。
Poppies自体はメジャーなフィッシュ&チップス屋だ。
土曜日の晩に行ったら店の前に行列ができていた。

ロンドンのピカデリー・サーカス周辺にあり、イケてる店の並びにPoppiesはあった。
店構えは小綺麗で、「ウナギのゼリー寄せ」というグロテスクな料理を出すような店には見えなかった。
入店して席について、店内を見渡す。

今のところ、この店に異常は見られない。
ごく普通の、
しかも割とキレイめな、
繁盛しているフィッシュ&チップス屋だ。
メニュー表で「Jellied eels(ウナギのゼリー寄せ)」を探す
さて、注文だ。
受け取ったメニューに、ウナギのゼリー寄せはあるのだろうか?
事前にググった情報だと、現地の人間でもおそらく顔をそむけたくなるような見た目の料理だった。
それだけグロテスクなメニューだ。
メニューに書いていたとしても、きっと端っこに小さく書かれてるに違いない。
もしかしたら、メニューにすら載ってなくて、店員に直接オーダーしないと頼めないかもしれない。
私は目を皿にしてメニューを覗き込んだ。

あった。
メニューの冒頭2番目にあった。
メニューの左上なんて、一番ユーザーが目にする場所だ。
その箇所に間違いなく「Jellied eels(ウナギのゼリー寄せ)」と書かれている。
この箇所に書かれているなら「ウナギのゼリー寄せ」というワードは相当なインプレッション数を稼いでいるはずだ。
これがロンドンか。
これがイギリスの食文化の常識か。
世界は広い。
私は一瞬たじろいだ。
深呼吸してウナギのゼリー寄せを頼んだ。
万が一に備えて毒消しとして、トニックウォーターも頼んでおいた。
トニックウォーターはマラリアの特効薬として飲まれていたこともある。
仮にウナギのゼリー寄せに毒があっても、きっと消毒してくれるはずだ。
いざウナギのゼリー寄せと対面
さて、いよいよ対戦開始である。
日本男児(私) vs ロンドン料理(ウナギのゼリー寄せ)
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満を持して皿が運ばれてきた。
戦いの火蓋が切って落とされる・・・。
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8日間の旅行中、このときだけは日本に帰りたくなった。
目を背けたい現実が、眼の前に立ちはだかる。
申し訳程度にパセリが彩りを添えている。
しかし、白と薄青いグレーに、透明なゼリーがまとわりついている様相は、
およそ人間が口にする料理とは思えない見た目だった。
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一刻も早く視界からこの料理を消し去りたい。
そのためには、
逃げるか、
平らげるか。
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しかし、私には「逃げる」という選択肢はなかった。
片道24時間近くかけて、はるばる日本からやってきた。
そして、自ら進んで「ウナギのゼリー寄せ」と対峙した。
つまり
逃げるという選択は、自分自身の決断にウソをつくことを意味していた。
それだけは日本人としての誇りが許さない。
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ゆえに眼前におかれた
およそ料理とは思えない、
ウナギのゼリー寄せを平らげる覚悟を決めたのだった。

向こう側に見えるフィッシュ&チップスが、太陽のように眩しかった。
ひどすぎて言葉が出ない経験は初めてだった
意を決して、一切れのウナギを口に運んだ。

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「何も言えねぇ。(悪い意味で)」
人間は度を超えた不味さを体験すると、反応ができなくなるということを学んだ。
食感、風味、どれをとっても最悪で、もどしそうになるのを必死に堪えた。
ウナギは骨ごとぶつ切りされている。
火の通し方も、多分焼いたのではなく茹でている。
そのせいで、皮のぬめりが取れていない・・・。

身の方も、火の通りが中途半端なせいで、骨から分離させることが難しい。
身だけを食べようとしても、皮がもれなくついてくる。
皮はぬめぬめブヨブヨして生臭く、最悪の風味を醸し出している。

ゆえに、身を食べるには、丸ごと口に放り込む必要がある。
そして、口の中で最悪の食感と風味を味わいながら、骨だけを口から取り出す。
この上なくひどい食事体験だ。
しかし諦めずに、戦いを続ける。
何度ももどしそうになりがら、半分ぐらいまでたどり着いた。

祖国の母の顔が何度も浮かんだ。
地獄の後半戦
つけあわせのパンが何の意味もない

ウナギのゼリー寄せには、バターが塗られた焼かれていないパンが2枚添えられていた。
味がなく、ウナギのゼリー寄せにもマッチしない。
ただ邪魔なだけだった。
味変を試みるも効果なし

テーブルにおいてあったナンプラーで、生臭さをかき消そうと試みた。
無意味だった。
半生に近いウナギは、ナンプラーの匂いのキツさを上回る生臭さだった。
ナンプラーをかけたことを忘れてしまうほどだ。
それぐらい衝撃的な生臭さは、人生始めての体験だった。
気休めのフィッシュアンドチップス

写真が汚くて恐縮だが、箸休めにフィッシュアンドチップスを食べた。
フィッシュアンドチップスを食べているはずなのに、フィッシュアンドチップスの味がしなかった。
正確には味はしているのだが、ウナギの生臭さが鼻に残っているせいで、
塩とケチャップのしょっぱさしか感じられなかった。
残すはゼリーのみ

そんなこんなで、ウナギの身をすべて平らげた。
残すはゼリーのみ。
このゼリーにもウナギの生臭さが染み付いている。
ほんのり塩味がついててしょっぱい。
しょっぱくて生臭いデュルデュルした半固形物を、1皿分平らげる必要があった。
どういう罰ゲームなんだ。
しかし、こころの中のエレンがこう言う。

この戦いは、まぎれもない私自身が始めた物語。
であるなら、この悪夢は私が終わらせるしか無いのだ。
泣きそうになるのを必死に堪えて、生臭いゼリーを飲み干していった。
激闘の末に・・・

生臭さからくる吐き気と格闘を続けること、およそ15~20分。
完食。
私は勝利した。
ウナギのゼリー寄せに。
いや、この悪夢のような料理が生まれた、イギリスの歴史に。
食べている時間は、何時間もの戦いのように感じられた。
それほどまでに、この食事は悪夢だった。
しかし、私はこの体験を通じて、一つの自信を得た。
日本から遠く離れた異国の地で、アウェーな食事体験に屈すること無く立ち向かい、勝利を収めたのだ。
ウナギのゼリー寄せを食べきったら、すべての食欲が失せてしまった。
同行者が残していたフィッシュアンドチップスも、手を付ける気にならなかった。
でも残すのは店の人に悪いので、気合で全部胃に押し込めた。
まとめ

ウナギのゼリー寄せは悪夢のような食べ物だった。
記事を書きながら生臭さがフラッシュバックして気分が悪くなった。
二度と食いたくない。
思い出したくもない。
これからロンドンに行く人にも、絶対におすすめしない。
ロンドンにもインド人がやってるカレー屋とか、ピザが美味しいイタリアンの店とかあるので、そっちを強くおすすめする。



